会社の健康診断をしてみましょう! ー 財務分析 ①収益性について
企業経営において、適切な経営の意思決定を行うために必要なこと。
それは、「会社の今の状態がどうなのかを正しく把握する」ということです。
そのために有効なのが、「財務分析」です。
聞いたことはあるけど、よく分からない・・・実際に何を見ればいいの?と思われる方も多いと思います。
財務分析と一口に言っても、様々な切り口があります。
そこで、一般的に分析される「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」の4つの観点について、
主な指標とその見方について解説していきたいと思います。
初回は、収益性についてです!
収益性
収益性とは、企業の稼ぐ力、利益を生み出す力のことです。
利益の源泉となっているのは事業活動に投下された資本(資産)なので、資本に対する利益の割合を見ることによって収益性を図ることができます。
収益性を示す主な指標には、総資本経常利益率(ROA)、自己資本経常利益率(ROE)、経営資本営業利益率があります。
ここでは、本業の収益性はどうかを判断する指標として、経営資本営業利益率について見ていきましょう!
※経営資本=総資本 ―(建設仮勘定+投資その他+繰延資産)
経営資本営業利益率は、企業が営業活動に使用した資本からどの程度の利益を獲得したかを示すもので、企業本来の活動による収益性を判断する指標です。
数値が高いほど、収益性が高いと言えます。
この指標は、売上高を媒介として売上高営業利益率と経営資本回転率に分解することができます。
売上高営業利益率は売上高に対する利幅を、経営資本回転率は投下された経営資本の売上高による回転速度を示しています。
このように指標を分解することで、経営資本営業利益率の高低の原因が、商品のマージン率にあるのか経営資本の利用状況にあるのか、またはその両者にあるのかを掴むことができます。
原因が掴めると、以下のような方策を立てて改善を図ることが可能となります。
売上高営業利益率を高める方策の例 | 経営資本回転率を高める方策の例 |
・市場調査を行い、売れ筋商品を企画する ・高付加価値製品を開発し、利幅を稼ぐ ・継続的な原価改善により、工場の原価低減を図る ・管理部門の肥大化を防ぎ、一般管理費の抑制を図る | ・部品点数を減らし、在庫を圧縮する ・手形の回収期間を短縮する ・売掛金の回収を促進する ・設備の稼働率を向上させ、遊休設備を売却する |
思うように利益が出ない・・・とお悩みの経営者さんは、一度収益性について分析してみてはいかがでしょうか。
売上高を部門や商品の種別にさらに分解したり、経営資本についても棚卸資産・売上債権・有形固定資産それぞれについて分析してみることで、改善点が見つかるかもしれません。
次回は、安全性に関する指標についてのお話をしようと思います!